「今、ファクタリングで資金を調達したばかりなのに、また別の支払いでお金が足りない…」
「他社のファクタリングを利用中だけど、追加で申し込みってできるんだろうか?」
「今のファクタリング会社より手数料が安いところに乗り換えたい…」
個人事業主として事業を運営していると、予期せぬ出費や急な資金繰りの悪化はつきものです。そんな時、既にファクタリングを利用していると、次の手が打てずに頭を抱えてしまう方も少なくありません。
結論からお伝えします。
ファクタリングは、他社利用中でも追加で利用できる可能性が十分にあります。
しかし、そこには絶対に知っておかなければならない「ルール」と「リスク」が存在します。ルールを破れば、最悪の場合、詐欺罪に問われる可能性すらあるのです。
この記事では、他社利用中のファクタリング利用について、安全な「併用」や「乗り換え」の方法、そして「ファクタリング会社同士の繋がり」や「二重譲渡がバレる」といった、あなたが本当に知りたいであろう裏側の情報まで、専門家の視点から徹底的に解説していきます。
【結論】ファクタリングは他社利用中でもOK!ただし条件付き
なぜ、他社を利用していてもファクタリングの追加利用が可能なのか。それは、ファクタリングが「どの売掛債権を売却するか」という契約だからです。
【OKなケース】
- A社に対する100万円の売掛債権を、Xファクタリングに売却。
- 別のB社に対する50万円の売掛債権を、Yファクタリングに売却。
このように、売却する対象の売掛債権が異なっていれば、複数のファクタリング会社を併用することは基本的に問題ありません。
【絶対にNGなケース:二重譲渡】
- A社に対する100万円の売掛債権を、Xファクタリングに売却。
- 同じA社に対する100万円の売掛債権を、Yファクタリングにも売却。
これは「二重譲渡」と呼ばれ、明確な契約違反であり、横領罪や詐欺罪に問われる可能性のある違法行為です。資金繰りに困っているからといって、絶対に手を出してはいけません。
「併用」と「乗り換え」の違いは?ファクタリング他社利用中の2つのパターン
他社利用中の資金調達には、大きく分けて2つのパターンがあります。自分の目的がどちらに近いか、しっかり理解しておきましょう。
パターン1:追加の資金調達のための「併用」
現在利用しているファクタリング契約はそのままに、別の売掛債権を使って、新たなファクタリング会社から追加の資金調達をすることです。
- メリット:
- 複数の売掛債権を同時に現金化できる。
- 資金調達の選択肢が増える。
- デメリット:
- 手数料の支払い先が複数になり、管理が煩雑になる。
- 総手数料額がかさみ、利益を圧迫する可能性がある。
パターン2:より良い条件を求める「乗り換え」
現在利用しているファクタリング会社よりも手数料が安い、または対応が良いなど、より条件の良い会社を見つけて契約先を切り替えることです。
- メリット:
- 手数料を抑え、手元に残る資金を増やせる。
- より自社の事業に合ったサービスを受けられる。
- デメリット:
- 現在の契約内容によっては、違約金が発生する可能性がある。
- 再度審査が必要になるため、手間がかかる。
【目的別】ファクタリング他社利用中でもOKなおすすめ会社
それでは、実際に他社利用中でも柔軟に対応してくれる可能性の高いファクタリング会社を、あなたの目的別に紹介します。
【少額・スピーディー】とにかく早く追加資金が欲しい個人事業主向け
このタイプの会社は、AI審査を導入しており、手続きがオンラインで完結するのが特徴です。
会社名 | 特徴 | 手数料 | スピード |
ペイトナー ファクタリング | 請求書登録から最短10分で入金。個人事業主・フリーランスに特化。 | 一律10% | 最短10分 |
labol(ラボル) | 24時間365日即時振込。独立直後でも利用可能。 | 一律10% | 最短60分 |
QuQuMo | オンライン完結。手数料が1%~と業界最低水準。 | 1%~ | 最短2時間 |
【乗り換え・条件改善】今の会社より手数料を安くしたい方向け
対面やオンラインでのヒアリングを通じて、柔軟な審査やコンサルティングを行ってくれる会社です。
会社名 | 特徴 | 手数料 | スピード |
株式会社No.1 | 柔軟な審査とコンサルティング力に定評。乗り換え相談にも強い。 | 1%~ | 最短即日 |
アクセルファクター | 利用者の状況を親身にヒアリング。審査通過率が高い。 | 2%~ | 最短即日 |
ベストファクター | 財務コンサルティングも提供。経営改善の視点からサポート。 | 2%~ | 最短即日 |
【業種特化・専門性】特定の業種でしっかり相談したい方向け
特定の業種に特化することで、その業界の商習慣を深く理解し、最適な提案をしてくれます。
会社名 | 特徴 | 手数料 | スピード |
PMG | 建設業や医療・介護に強い。2社間ファクタリングに特化。 | 要問い合わせ | 最短即日 |
アズワン | 運送業に特化。業界の資金繰りサイクルを熟知。 | 要問い合わせ | 最短即日 |
けんせつくん | 建設業界専門。注文書ファクタリングにも対応。 | 3%~ | 最短2時間 |
なぜバレる?ファクタリングの「複数利用」と「二重譲渡」の裏側
「黙っていればバレないのでは?」そんな甘い考えは非常に危険です。ファクタリング会社は、あなたの知らないところでリスクを回避するための仕組みを持っています。
バレる理由1:ファクタリング会社間の情報共有ネットワーク
多くの優良なファクタリング会社は、業界の健全化を目的とした協会に加盟しており、悪質な利用者を排除するために情報を共有している場合があります。「ファクタリング会社の繋がり」は、あなたが思っている以上に存在するのです。
バレる理由2:債権譲渡登記の確認
高額な取引の場合、ファクタリング会社は「債権譲渡登記」という手続きを行います。これは「この売掛債権は当社のものです」と法的に公示する制度です。別の会社が同じ債権を買い取ろうと登記情報を確認すれば、二重譲渡は一発でバレます。
バレる理由3:入金確認時の不審な動き
例えば、あなたが売却した売掛金の入金日に入金がなかったり、連絡が取れなくなったりした場合、ファクタリング会社は取引先に事実確認を行うことがあります。その際に、別の会社にも売却していたことが発覚するケースもあります。
二重譲渡がバレたらどうなる?
- 刑事罰: 横領罪や詐欺罪で逮捕される可能性があります。
- 損害賠償: ファクタリング会社から、買取金額と手数料、遅延損害金などを一括で請求されます。
- 業界のブラックリスト入り: 二度とファクタリングサービスを利用できなくなります。
- 信用の失墜: 取引先に知られれば、今後の取引が打ち切られる可能性が非常に高いです。
「バレない」方法を探すのではなく、「二重譲渡は犯罪である」と肝に銘じ、絶対に手を出さないでください。
安全にファクタリングを追加利用するための4つのステップ
では、どうすれば安全に追加の資金調達ができるのか。正しい手順を踏めば何も怖くありません。
- Step 1:現在の契約書を確認する
まず、今利用しているファクタリング会社との契約書を読み返し、「他社サービスの利用を禁止する」といった条項がないか確認しましょう。 - Step 2:正直に「他社利用中」であることを伝える
新しいファクタリング会社に申し込む際、申込フォームの備考欄やヒアリングの際に、正直に「現在、他社で〇〇円の売掛債権をファクタリング中です」と伝えましょう。隠すことの方が、はるかに心証を悪くします。 - Step 3:必ず「別の売掛債権」で申し込む
最も重要な点です。現在利用中の売掛債権とは、請求書番号も取引先も異なる、全く別の売掛債権を用意して申し込みましょう。 - Step 4:手数料だけでなく、契約内容全体で比較検討する
目先の手数料の安さだけで飛びつかず、契約期間や債権譲渡登記の有無、万が一の際の対応など、契約内容全体をしっかり比較し、納得した上で契約しましょう。
まとめ:ファクタリングの他社利用は可能!ただし誠実な対応が鉄則
資金繰りに窮した時、ファクタリングの追加利用は非常に有効な手段となり得ます。他社利用中であっても、ルールを守れば受け入れてくれる会社はたくさんあります。
- 「併用」と「乗り換え」の違いを理解し、自分の目的を明確にする。
- 絶対に「二重譲渡」はしない。必ず別の売掛債権で申し込む。
- 新しい会社には、他社利用中であることを正直に伝える。
隠し事をしたり、不正をしたりすることは、かえって自分の首を絞めることになります。誠実な対応を心がけることが、結果的にあなたの事業を救い、健全な経営へと導く一番の近道です。
FAQ:ファクタリングの他社利用に関するよくある質問
Q1. 少額でも他社利用中に申し込めますか?
A1. はい、可能です。「ペイトナー ファクタリング」や「labol(ラボル)」など、1万円程度の少額から対応しているオンライン完結型のサービスは、他社利用中でも柔軟に審査してくれる傾向にあります。
Q2. ファクタリング会社同士の繋がりって、本当に情報交換しているんですか?
A2. 全ての会社が繋がっているわけではありませんが、悪質な利用者を排除し、業界全体の信頼性を保つために、一部の協会加盟企業などで情報共有が行われている可能性はあります。「どこも繋がっていないだろう」と考えるのは危険です。
Q3. 他社利用を隠して申し込んだらどうなりますか?
A3. 審査の段階で発覚した場合、審査に落ちる可能性が高いです。万が一、契約後に発覚した場合は、契約違反として即時全額返済を求められたり、悪質な場合は詐欺として扱われたりするリスクがあります。正直に申告する方が賢明です。
Q4. ファクタリングの「乗り換え」を検討していますが、今の会社に伝えるべきですか?
A4. 伝える義務はありませんが、現在の契約内容を確認し、解約に伴う違約金などが発生しないかは必ずチェックしてください。新しい会社との契約が完了し、資金調達が確実になってから、現在の会社との契約を終了するのが安全な流れです。
Q5. 提出する請求書を偽造したらバレませんか?
A5. 絶対にバレますし、犯罪です。ファクタリング会社は、審査の過程で請求書が本物であるか、取引先に電話確認をするなどして裏付けを取ります(3社間ファクタリングの場合)。2社間の場合でも、入金が確認できない時点で不正が発覚します。架空請求によるファクタリングは、明確な詐欺罪に該当します。
コメント